メリーゴーランド 

~日記帳~

社会進出バンザイ

私は、長いこと、専業主婦であった。昨年の5月からバイト主婦にバージョンアップ(?)

といっても、週5で働き始めたのはつい最近で、しかも、1日の労働時間たるや、平均して数時間。フルで働いているのとはだいぶ違う。

大学卒業後、私は翻訳会社に3年近く勤め、それから派遣会社に登録して、派遣先の石油会社にて、半年ほど働いた。

当時付き合っていた夫は、私が翻訳会社にいた頃にロンドン転勤になり、私達はいわゆる遠距離恋愛になったが、半年後に一時帰国した際、籍を入れた。数か月後、私は石油会社を辞めて、夫の待つロンドンへ。新婚生活のスタートである。26歳だった。

その後、横流れ転勤でニューヨークへいき、3年ほど過ごして帰国した。29歳。

夫の海外転勤について行くとなると、妻は働かないのが一般的で、私もそうだった。海外で仕事を探すのは大変そうだし、そもそも、当時はなぜか、働けないビザだったし、日常会話に不便はなかったが、ニューヨークにて、仕事で英語を使う勇気はなかった。

私は、第二外国語で英語を話す友達、あるいは、同じような日本人の主婦友達を見つけて付き合い、あるいは、英語の学校、習い事、スポーツクラブに通い、カフェで読書したり、家で書き物をしたり、ニューヨーク生活を満喫した。

夫との関係も良好だった。お互いまだ若く、新婚旅行気分が抜けないまま、週末の散策、旅行、そして何と言っても、会話を楽しみ(今現在は、必要最低限の言葉…)、そして、犬(チワワ)を飼って、彼女🐾とともに、いっそう呑気で朗らかな日々を送っていた。

この頃、自分が専業主婦であることに、特に引け目はなかった。数年前まで働いていた為、働くことくらい、別にいつでも出来る、自分だって働こうと思えば働ける、と思えたのだろう。また、夫との関係が、今と違って、良好だったことも大きい。私の存在は、今と変わらず、稼ぎ無しの、家事が雑な在宅女だったが、あの当時は、まだ恋人関係の余韻が残っていたから、

そのままの君でいい。居てくれるだけでOK

みたいな感覚が夫にあり(私のめでたい自惚れかもしれないが)、私にも、それが何となく伝わって、だから私も、

まあ、私は、これでいいんだな。専業主婦、これはこれで素敵な存り方だ、

と思えた。

が、しかし、年月は流れる。

帰国後、まだ29歳半くらいだったので、子供はまだいいよね?と夫婦で話しており、それならば!仕事でも探す?という考えがよぎるも、愛犬!!あえて今、愛犬を留守番させてまで、働くこともなかろう・・・と考えた。飼う前から働いていたならいいが。

愛犬を溺愛しつつ、相変わらずの無職のまま、2年ほど経過。私は、32歳で長男を出産した。その時も、2年前と発想は同じだ。何も、あえて、このタイミングで仕事を探さなくてもよかろう・・・。

さらに4年後、長女誕生。もはや、働くとか再就職とか、そういう発想は消えていた・・・。新卒で数年働いた過去は、この辺りでは、すでに遠い遠い、いにしへと化していた。

2児の母になってからは、もう、育児と家事一筋で突っ走っていたように思う。色々なママ友と出会っては、疎遠になり、あるいは、そのまま、普通の友人として親しくなり、親交を深めたりもした。子供の揉め事も、それなりに経験した。夜も眠れなくなるほど悩むこともあった。(語弊があるかもしれないが、専業主婦って、否応なしに、子供ととことん向き合う機会が多い上に、時間があるから、良くも悪くも、子供達のもめ事にもすぐに気付き、そして、良くも悪くも、悶々と悩むことが多い気がする・・・。《働いていたら、働いている人にしか分からない、育児の苦労が、恐らく、もっとずっとたくさんあることは承知です!》)

息子が小4、娘が年長の時に、夫が再びロンドン転勤になって渡英。

この時点では、働かないのは当たり前になっていた上に、イギリスの場合、11歳までは、子供を1人で外出させてはいけない規則があったので、学校や幼稚園は勿論、習い事も一通り私が同伴する必要があり、そうなると、働く発想の有無以前に、

働く?そんな、働けと言われても、無理でしょう・・・

である。イギリスの働く女性には、基本、シッターさんがいる。逆にいえば、シッターさんなして働くのは、無理難題もいいとこだ。

周りの日本人を見ても、夫の転勤にくっついてきている奥さんで働いている人は、見たことがなかった。夫が現地採用の日本人の場合、あるいは、国際結婚で、夫がイギリス人もしくはEU圏の方である場合(つまり、転勤ではなく、永住組の場合)、働いている奥さんも結構いたが、シッターさんなしで、学校の終わる時間までのパートタイムジョブが多かったように思う。いわゆる、駐在員の奥さんは、少なくとも、イギリス在住中、無職である。

ロンドン生活後半から、子供たちはぐんと成長し(年齢もあがって、英語も完全に私を超えた)、少なくとも送迎や、学校関係のあれこれに、以前ほど、手がかからなくなってきた。そうすると、贅沢には贅沢な思考だが、私は急に、専業主婦のアホ臭さに、どっぷり浸るようになった。

当時から散歩が好きで公園を歩いていたのだが、そうすると、日本人以外の人に声をかけられる事も多い。男女問わず、60代以上が多かったが、彼らは当たり前のように、あなた、仕事は何をしているの?と尋ねてきて、私が無職だというと、何でまたそんなことに?!?!という空気が流れ…私は、そのたびに、しどろもどろ誤魔化す羽目になり、そんな自分に嫌気がさした。転勤のせいにしまくる、育児のせいにしまくる、そして、もはや消えかかっている過去である、20代前半の職を、さも、つい最近までやっていたような口調で話す(嘘はつかないが)…。

私、26歳から今日まで一銭も稼いでいないんです。ずっと他人の稼いだ金で生きてきました。まあ、ここまで来ますとねえ、路線変更は難儀でありますから、あとはもう、とりあえずテキトーに家事して、病院はしごの日々に突入して、ある日コテっと少なめの痛みで死ねればいいと思っています。アハハハハ・・・

なんて堂々といえるほど、居直っていなかった。

昨年の3月に帰国し、4月の後半、今の家の近場で、「育児経験のある方歓迎」という募集を見つけた。塾のような予備校のような学校(詳細は省略)の、勉強のサポート業務(講師ともいう)である。資格は、とりあえず、大学受験を経験していればいいらしい。大学時代、長いこと、塾講バイトを2年ほどやっていたので、まあ、これならいけるんじゃないか?なんといっても、家から5分というのが魅力的だし!と、私は応募した。その後、国語、英語、数学のテストを受けて、明らかに数学は大変なことになっていたと思うが、国、英はクリアーしたのだろう(どのくらい重要なテストなのか謎)。とりあえず、昨年のGW明けから働き始めた。

・・・・で、現在に至る。

働き始めて、専業主婦コンプレックスが消えたかどうか?それは実際のところよく分からないのであるが、でも、この数時間の仕事の為に、場合によっては結構予習をしなければいけないので、数時間業務とはいえ、実質、仕事に関わっている時間はもっと長い。そうなると、そもそも、自分の現状を見つめる時間が減り、結果的に、卑屈でネガティブな思考のループにはまりこむことも減る・・・。健康に関して、特に眼科系は色々あり、神経質に考える機会が多いが(この件、おいおいブログにまとめる予定)仕事を始めてから、それも随分減った。

ある意味、忙しさで、ネガティブ思考や心配に取り憑かれる隙が減ったのである。また、中高生との何気ない会話によって芽生える親近感、愛情、ポジティブな意気込み(プレッシャーとは別の積極的な責任感)により、脳が、心が、リフレッシュされるのも事実だ。真面目な勤務姿勢に(自分で言うのも何だが)、自信を得たりもする。

それならば!

バイトとはいえ、社会復帰、いや、復帰というには、以前、社会にいた記憶が曖昧だから、社会進出?が適切だろうか。ともかく、この社会進出を喜んでいいだろう。万歳🙌

 

あ、ここで、

料理バンザイを思い出す・・・

たまに行くならこんな店コーナーが特に好きだった。山口いずみさん、水戸黄門にも出てらして・・・。懐かしい。

f:id:April15:20240418232426j:image

f:id:April15:20240418232433j:image