昨日、私は仕事（バイト）から、15：30に帰宅した。娘（１２）息子（１６）、ともに在宅。年甲斐もなく喧嘩しながら、年相応に（？）２人でマリオカートをやっていた。
私は、買い物してきた食材を冷蔵庫に突っ込んでから、再び外出。薬局で買い忘れたものが幾つかあったからだ。
私の２度目の外出中、夫が会社から帰宅し、部屋にこもって、仕事の続きを始めた。
再び帰宅した私は、夫の帰宅に気付いていない。息子は、今度は一人でゼルダ。娘は部屋に戻っていた。
17時に、夫のオンラインミーティングが始まった。電話で誰かが話している声を聞き、私は、電話好きの娘がまた電話しているのだと思った。
電話ばっかり・・・・と注意したいのはやまやまだが、今時の子にとっては（皆が皆ではないにせよ）、電話も健全な遊びの一環であり、これを頭から否定すれば、実際のところ、春休みなど、暇すぎたりもするわけで、私はあまり注意しない。
しかし、電話をしまくるということは、スマホの画面を見まくることであり（大抵、ビデオ電話だから）、YouTubeなどもよく見ていることを思うと、スマホを見過ぎという観点で心配になる。
それで昨日も、夫のミーティングの声を、娘の電話の声と聞き違えていた私は、家事の合間に、悶々と考えた。
Mちゃん（娘）、また電話かあ。しかも、声が変だな。やけに低い。さては、電話のし過ぎで声が枯れて、変わってしまったんだな・・・。この間お泊り会行って、その前後も外で遊びほうけて、家に居る間は電話ばっか。やっぱり、電話に限らず、人と話し過ぎて声が枯れたんだ！私もバイトで３時間ぶっ続けで、熱心に話すと、声枯れるしな・・・。よし、少し、電話を節制させよう！
娘の部屋のドアを開けると、娘は、散々放置していた中学の宿題を、渋い顔で見つめていた。電話などしていない・・・。
え？なんで？？？？あ、もしかして・・・・。私は娘に尋ねた。
「パパ帰ってきた？もしかしてパパいる？」
「いるよ。ママが２回目に出かけた時、帰ってきた」
何がショックだったって、夫の声（ドアが閉まっているから、言葉は聞き取れないが）を娘の声だと思い込んでしまった自分の聴力である。聴力の衰えにショックを受けた。
特に耳の問題を指摘されたことはないのだが、私は、１２、3年前、娘を妊娠している時から、耳鳴りが常にしている。産後、回復を期待したが、結局、音が小さくなっただけで、耳鳴りは未だ健在だ。しかし、音が随分小さくなったことと、慣れと、他の不調とで、正直あまり気にならない。耳鳴りとセットで起こりがちな聴力の衰えも、実感はしていない。しかし、ネットなどで、耳年齢などをチェックすると、高音、低音ともに、確実に老化していることは分る。また、「なんか音するよね？」と子供に言われ、子供たちには聞こえている音が自分には聞こえていないこともあって、そんな時は、それなりに、がっかりする。
今回、夫の低音を娘の声と聞き違えたのは、聴力の衰えに因るものが大きい気がする。低音だと分っていながら、娘の声であろうはずのない低音、としては聴き取れていなかったのだ。耳鳴りデビューしていたとはいえ、１０年前の私の耳は、こうじゃなかったと思う。ついでに脳も、10年前は違った。１０年前の脳内には、
幾ら声が枯れたって、こういう声にはならないでしょ！
とか、
声の聞こえてくる方向が微妙に違うでしょ？
とか、突っ込む自分がいた。突っ込み担当の自分が、10年前は、もっとテキパキ仕事していたはずだ。今は、どこいった？たまに見かけるから、まだ生きてはいると思うが…。
同年代の友達の話を思い出した。かれこれ１年前の話だ。
友達は、ある夕刻、カラスが外で、カーカーって鳴いている声を、ママー、ママーと聞き違え、「なに？」「だからなーに？」と延々と返事していたんだそう。
さすがにおかしいと思い、リビングにいき、子供たちに、「今、ママって呼んだよね？」と尋ねたところ、呼んでないよ！と・・・。
で、再びカラスの鳴き声。あ、ほら、あれ？彼女はやっと気付いた。嫌だ！ママ、カラスに返事していたんだ！と。
若い時分の私なら、そういう話を聞いて、そんな昭和のコントみたいなことあります？って驚いたろうが、一年前の私は違った。十分起こりうることだと思って、「確かに、カラスの声って、紛らわしいよね。分る、分る」と、心底本気で共感したのであった。
見た目が老けるのは仕方ないと割り切れるが、身体的な衰えは、言葉で割り切っても、やはりしょんぼりするものだ。視力、聴力、嗅覚、味覚、そしてそれらを把握する脳それ自体、歯、筋肉、骨、五臓六腑・・などなど、ともかく、往生際悪く、少しでも現状維持出来るよう、無理のない、副作用のない（笑）範囲で、努力したいと思う。
同じ桜も、夜、晴天の朝、曇りの朝でまた違う。
